01回卒業 榮久庵 憲司 さん

榮久庵さんが率いる GKデザイングループの、60年にわたるデザイン活動を紹介する展示会が 世田谷美術館で開かれました。 美術館のホームページから、その概要をお伝えします。


榮久庵憲司 と GKの世界 ~ 鳳が翔く(おおとりがいく)~ 』
  会場 : 世田谷美術館
  会期 : 2013年7月6日 ~ 9月1日、 10時 ~ 18時
  休館日 : 月曜日 (7月15日は開館、7月16日休館)
  観覧料: 一般 1,000円、65歳以上・大高生 800円、中小生 500円
  記念講演会 : 「生活美を求めて」 7月21日(日) 15時 ~ 16時

1929年(昭和4年) 東京西巣鴨に生まれた榮久庵さんは、その後 ハワイ・福山・東京と転居。 1942年(昭和17年)に 府立五中・第24期に入学し、1943年(昭和19年)秋に繰上げ卒業で海軍兵学校に入学しました。 
終戦後 広島に転居し、1947年(昭和22年)に県立福山誠之館中学を卒業しました。

一度は仏門の道を目指しましたが、すぐに東京に戻って 東京都立第五高等学校に再入学、改めて01回生として卒業した後、芸大へと進みました。

在学中に 小池岩太郎教授のもとで GK(Group of Koike)を設立。 1957年(昭和32年)には GKインダストリアンデザインを設立して所長となりました。 

展覧会では、榮久庵憲司と彼が率いる創造集団GKが、戦後の復興期より60年にもわたってデザインしてきた数々の製品を、模型や将来へのプロポーザル、さらには人と自然と道具が共生する世界を具現化した、インスタレーション作品などとあわせて紹介しています。


展示概要 「GKデザイン機構」から、画像の利用許可 取得済み
第一章 茶碗から都市まで
この章では、榮久庵とGK がいままで手がけた製品を、実物や模型などでご紹介します。
榮久庵は東京藝術大学に在学中の1952 年、工芸科助教授の小池岩太郎のもとで、同じ志をもった仲間とともに、
自主的にインダストリアルデザインについて学び始めます。 これを契機としてGK (Group of Koike)が結成されました。 この時、彼らがスローガンに掲げたのが「モノの民主化」、「美の民主化」です。 GK は戦後復興が始まった日本社会に次々と、日常生活で使う製品を送りだしていくようになっていきました。 
1960 年代に入ると、彼らの活動の領域は大きく拡がっていきます。 さらに、1970 年の日本万国博覧会では、全体計画の最初期から関わり、企業パヴィリオンも手がけています。 また、デザインする範囲も、個別の製品や施設だけでなく、都市という規模でのトータルデザインへと幅広く展開していきました。

第二章 創造工房
博覧会で展示するテクノロジーを駆使したオブジェや、モーターショーのためのオートバイのコンセプトモデル、博物館施設に設置されるインタラクティブな情報装置など、新たなコンセプトや技術の開発も、GKの活動の一環としてあります。
まだ見ぬ未来の暮らしの姿をどのようなかたちで社会に実現させるかを、GK は常に具体的に考え続けてきました。 この章では、GK デザイングループの各社が、かねてより継続してきた、または近年新たに取り組んでいる研究や自主提案を紹介します。 芸術とテクノロジーの融合を大きなテーマとして、医療やスポーツの器具から、災害時に対応可能な仮設空間、都市の新交通など、幅広い領域での未来の生活への提案となっています。

第三章 道を求めて
道具が人々の生活を支える一方、人類を絶滅させる力も持ってしまった現在において、榮久庵は道具の力を調整し、ものづくりの方向性を再構築する機関が必要と考え続け、「道具寺道具村」を構想しました。
構想の実現に向けて榮久庵は、2005 年10 月、和歌山県の山中に、道具千手観音像と五具足を設えた〈道具庵〉と、寝所となる〈月の庵〉を構え、7日間の山籠修行を行います。 朝は読誦、昼は写経をして、道具寺道具村の建立を発願するというものでした。 
道具村は、道具寺を中心に複数の施設が配置され、デザインを志す人々が生活する一種の共同体となっています。 道具寺の本堂には、道具千手観音像が祀られます。デザイン、ものづくりを通して人間の人格を高め、道具の「物格」を育み、人間と道具が共生する世界を、榮久庵は希求しているのです。 榮久庵は、この構想を、インスタレーション作品〈 道具寺道具村構想 〉として2006 年に発表しました。 本展覧会でも再構成して展示いたします。

第四章 美の彼岸へ
この章では、榮久庵とGK による、もう一つのインスタレーション作品〈池中蓮華〉をご紹介します。  
〈池中蓮華〉は、道具寺に安置された道具千手観音像に向かい、修行を続けることで導かれる極楽浄土の世界を、現代の素材とテクノロジーを用いた広大な蓮華池として表現しています。 榮久庵とGKが提唱してきた活動が成就した暁
の、人と道具の幸せな共生が実現した理想郷の姿といえるでしょう。
それと同時に、人々にとって便利な道具をデザインするだけでなく、誰も見たことのない憧れの対象としてあるものをどのようにデザインし、人工物=道具で具体的なかたちにするかという、デザインの本質に関わる大きな問いへの、ひとつの解答ともなっています。
その上空を鳳が舞います。古代より霊鳥として崇められている鳳が、大空を、音もなく飛翔し、その姿を見る人々の気持ちは、清らかに澄みわたる。このような榮久庵の願いが、鳳に込められています。  

出典、引用 : 世田谷美術館   ( 引用は美術館の了解済み )
http://www.setagayaartmuseum.or.jp/
http://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/images/sp00164_ad.pdf

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